猫廼舎を閉店しました

閉店直前のコーヒーカップはこんな布陣でした

長いので1行で要約

猫廼舎を閉店してしばらくプログラマに専念します。お店はなくなりますがコーヒーは細々と続けてます。

お店を閉めました

もう先月のことになりますが、9年間やっていたお店を閉店しました。9年とは言っても後半3年はやってるかやってないのかわからないような状態で、お客さんにとっては閉店しようがしまいがたいして変わらないとは思うのですが、やってる側としては大半の時間を過ごしていた場所から撤退していちばん重い物件の家賃がなくなるという大きな変化のある出来事でした。

そもそものお店について

ご存知の方も多いと思いますが(そしてもちろん知らない人の方が多いと承知していますが)、ogijunこと荻野は小さなお店をやっていました。 コーヒー屋です。その名を『珈琲専門猫廼舎』と言いました。20年以上ずっとソフトウェアの世界でプログラミングで生計を得ていたのに、2015年からメインの仕事としてコーヒー屋にジョブチェンジしました。 自分でコーヒー豆を焙煎し、抽出してお客さまに提供するのです。かつてコーヒー屋で働いていた、ということも一切ありません。単なるカフェイン中毒だったんですが、おかげで大量にコーヒーを飲んでいていつしか自分で売るようになっていました。

そのあたりの経緯は日経BPの大森さんに記事にしていただきました。

ogijun.hatenablog.com

2015年4月1日に勢いで開店し、様々に試行錯誤しながら、拙いながらも飲食店経営をやってきて、先月の3月31日を持って丸9年の歴史とともに閉店しました。開店は勢いで決断しましたが、閉店については時間をかけて熟考に熟考を重ねて、最後はやはりえいやっと思い切って決断しました。

閉店を決めたた理由

ここに至るまでの経緯と今後についてを書きますね。

全く経験のない中で喫茶のみとはいえ飲食店を経営するのは簡単なことではなかったです。お店も当初は赤字続き、どうやったらこれで生活が成り立つのか想像も付かない状態でのままただただ続けていたのですが、長年継続するとじわじわとお客さんも増え認知もされてきて、少しずつ売り上げが経つようになってきました。アルバイトのスタッフも一時は4人も入ってくれてお給料を出してもなんとか単月黒字が見えてきた、その頃にCOVID-19禍が起きたのです。じわじわ増えていたお客さんが一気にいなくなってしまいました。

それまでも儲かっていたわけではなく、もう資金も尽きていろいろトライしましたが最終的にはまたプログラマとしての仕事で当座の収入を得るしかないなと思い至り、2021年の3月から主業務としては再びフルタイムで元の業界に戻ることにしました。

ogijun.hatenablog.com

そのとき私を拾ってくれた株式会社iCAREには本当に感謝しています。入社後すぐCTOにしていただいて、様々に貴重な経験をさせていただきましたし、尊敬できる人、かわいくてしょうがない若手、いろいろな素晴しい仲間と楽しくプログラミングさせてもらえました。

このiCAREにいた初期の頃は緊急事態宣言が明けたらすぐにフレックスぎりぎりの17時に退勤して18時から夜のコーヒー屋として猫廼舎を開ける、土日は昼間からコーヒー屋をやる、という暮らしをしていたんですが、後半忙しくなってしまいあまり開けられなくなっていた。それでも物件は維持していました。

転機、というか急展開

そこから詳しくは省略しますが家庭の事情等もあり結果的に昨年10月にいまの所属である株式会社カケハシにガチのソフトウェアエンジニアとして転職しまして、そこからは怒濤の毎日というか、入ったチームが凄腕揃いの中、バンドのいちばんの下手くそメンバーとしてなんとか喰らいついていく日々でして、以前にも入社時の想いを書いたけれどその狙い通りの仕事をずっとさせてもらってます。今も。

ogijun.hatenablog.com

そして、このソフトウェアエンジニアという仕事をあと何年か本気で駆け抜けて自分がどこまでやれるか試してみたいな、と思ったときに、こりゃしばらくはお店開けたりしてる余裕がないなと気がついた。夜も新しい言語や仕組みの勉強したりしてるし、週末だけはコーヒーに使うとしても土日どっちかに焙煎してどっちかはお店を開けるとかになって、圧倒的に時間が足りない。これまで維持していた店舗の家賃の負担を正当化できるほどの稼働ができないことが明白なのです。

いろいろ考えて、プログラマとして腕を試したいあと少しの期間はお店を開けるのは無理だと判断しました。焙煎は週末に細々と続けます。これは勘が鈍るのが怖いので。それに較べると抽出や接客はしばらく離れてもそれほど怖くない。店舗を手放して資源をいまやりたいことに集中することにしました。

長々と書いてきましたが、それでも全然説明し切れていない気がします。また機会を改めていろいろ補足させてください。

一部の出入り業者さんや元スタッフなど以外には一切なにも告知せずに3/31の閉店の日を迎え、その後は昼の仕事をしながら夜に1人で9年間お世話になった店舗の片付けを今月半ばまで行って先日大家さんに物件を返却してきました。

今後について

上に少し書いた通り、コーヒー豆の焙煎は別ほ場所で続けています。都内の何件かのお店がうちの豆を使ってくれていたり、これまで買ってくれていた人などにも引き続き提供したいです。焙煎もかつては毎日やっていたのに現在は週末のそれも一部だけのため、それほどたくさんは用意できないのですが、がんばって続けていきます。通販も現在は新規受付を停止していますが、いずれなんらかの形で皆さんにもお求めいただけるようにします。

もうひとつ、突発イベント的なネルドリップコーヒーの提供はたまにやりたいです。店舗は返しちゃいましたが道具は残してあるので、どこかで間借りできるときがあったらたまにやりたいな、ていうのと、あと例えば皆さんのお宅やオフィスなどに伺っての出張ドリップサービスなど行いたいと思います。ぜひお気軽にお問い合わせください。

ちなみにイベントでの出張コーヒー屋、既に来月と再来月に1件ずつ決まっています。5月のものはもうチケットが売り切れていて来たくてもいまから来ることができないので詳細をお伝えするのは控えますが、いまもその準備を進めています。

そして、いろいろと状況が変わったらまた小さなお店をどこかで開きたいと思います。しばらくはいまの仕事に専念してますが、いつかはコーヒー屋に戻ります。これは必ず。猫廼舎に来てくれていた方も、気にはしてたけど一度も来られなかった方も、その際にはぜひご来店ください。お待ちしてます。